江戸は様々な階層の人々が暮らす土地というだけでなく、参勤交代や旅行などで多くの人々が全国から集まる土地でもありました。そうした人々は、江戸のどこでどんなものを買っていたのでしょうか。「江戸買物案内」で収集した江戸時代の買物ガイドブックの広告から、江戸の商店を巡ってみましょう。

ピックアップ

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    伊勢屋利八(池之端仲町)

    武具問屋の存在は、江戸が町人のみでなく武家の街でもあることを思い出させます。江戸を訪れた諸藩の武士達も買い求めていたようで、清河八郎の『西遊草』には、下谷や神田で剣術道具を探す様子が書かれています。

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    釜屋佐次右衛門(小網町二丁目)

    小網町に店を構える釜屋佐次右衛門は、「かまやもぐさ」を全国展開する艾問屋です。見開き2ページの紙面を二面、合計4ページわたって利用しており、『江戸買物独案内』では最大のページ数を占める商人一人です。

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    魚屋金太郎(淀橋)

    江戸時代にも手ごろな料理として一般的だった茶漬けですが、豪華な具材を載せた高級志向の御茶漬を出す店もありました。御茶漬所と書いていますが、酒類をはじめ様々な料理も提供していました。

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    堺屋松五郎(御船蔵前町)

    江戸文学に書かれる高級寿司の代名詞「まつがすし」(松が鮨)とは、堺屋松五郎のいさごずしのことです。あまりに豪華で人気が出たために、天保の改革では処罰対象にもなりました。

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    山屋半三郎(浅草並木町)

    江戸文学にしばしば登場する江戸の名酒「隅田川」こと隅田川諸白(もろはく)、この酒を造っていたのが山屋半三郎です。見開きの紙面を贅沢に使って「御用 隅田川諸白」をアピールしています。

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    大塚屋半蔵(四谷伝馬町二丁目)

    「御三家御用達」を大々的に書く大塚屋半蔵、献上や結納のための贈答品を扱っています。一方でこうした献上品はリサイクルされることもあり、そういったものを扱う「献残屋」と呼ばれる商売もありました。

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    蔦屋重三郎(小伝馬町二丁目)

    蔦重として知られる江戸の版元、蔦屋重三郎は才能ある作家を次々と発掘したことで名高い人物です。『江戸買物独案内』に登場する蔦屋重三郎は彼の後をついた二代目で、北斎の作品を多く世に送り出しています。

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    柳屋太兵衛(浅草花川戸町)

    柳屋太兵衛の版面は地味なものですが、彼が生業とする「明樽問屋」は江戸の街に多く存在する問屋です。「明」は「空」の当て字で、一度使った樽を再利用するために集め、酒・醤油などの業者に卸していました。

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    萬屋市右衛門(瀬戸物町)

    『江戸買物独案内』に最も多く登場する店が「酢醤油問屋」です。人びとの日々の生活に欠かせないものであること分かります。この萬屋の様に、他の問屋も兼ねる多角経営を行っていたものも多くあります。

業種分類

検索を支援するために、現代の人々がより理解しやすい分類体系でデータを整理しました。業種分類は日常的になじみのある分類体系、そして日本標準産業分類は経済統計などで用いられるより専門的な分類体系です。

業種分類

  • 衣料品・装飾品:着物や履物など身に着ける商品を扱う
  • 飲食店:寿司などの料理を店内で提供する
  • 産業・農工業:農具や建具など生産に利用する道具を扱う
  • 趣味・教養・遊戯:茶道具や楽器、玩具などを扱う
  • 出版:書物などの出版物を扱う、印刷関係も含む
  • 食料品・酒類:食料品や酒などを販売する
  • 道具・日用品・武具:日常生活に利用する道具類を扱う
  • 薬・化粧品:医薬品や化粧品を扱う
  • 嗜好品:タバコなどの嗜好品を扱う
  • その他:その他

日本標準産業分類

平成25年版の日本標準産業分類を基準に、各商店の業種を分類しました。 日本標準産業分類 一覧では業種ごとの件数も集計しています。